■命きらめく草原の王冠 南阿蘇村 阿蘇の外輪山は、カルデラに暮らす人々にとっては自らの矜持を漉し固める沙漠であり、旅人にとっては日常視野を転換させる境界線と思います。その外輪山を際立たせるのが稜線に広がる草原ねそして悠久の時間です。大気はそよぎ、草は芽吹き、水は循環し、そして人々の希望がきらめきます。 人々はその緑香る高みに身を置くとき、心を鎮め、人生を遠望する。まるで大きな力を抱擁されるよう、安寧の心持ちから新たな光明、澄みわたる救済を得ることができます。 人生観あるいは生死観。阿蘇のカルデラもまた巡りゆく時間の一断面をなす。比類なき自然と人々が折り合いをつけてきた阿蘇カルデラは、単に景勝地であることを超え、命魂の蘇生をことほぐす別天地であることを世界に訴求するのです。 ただの田舎ではない阿蘇の外輪山に囲まれた阿蘇の山並み。悠久の時間と同化することができます。ぜひ、おばあさんの看板とともに。 ■阿蘇は世界農業遺産に認定 世界農業遺産は国際連合食料農業機関が開始した仕組みで、次世代に受け継がれるべき重要な伝統的農業や生物多様性、伝統的知識、農村文化、農業景観などを全体として認定し、その保全と持続的な活動を図るものです。「過去の遺産」ではなく、そまぞまな環境の変化に適応しながら進化を続ける「生きている遺産」と言われています。 世界最大級のカルデラを形成している阿蘇には、22.000ヘクタールの広大な草原が広がっています。この草原の循環的な利用と管理システムを通じた持続的な農業や農法、農文化が受け継がれています。また、野焼き放牧、採草という農業活動により半自然牧草が維持されたことで、多様な動植物が生育生息しも、素晴らしい景観が維持され、阿蘇の農業が維持され、阿蘇の農業の価値が世界レベルであるとして平成25年5月29日、世界農業遺産に認定されました。
|