■黄金の瀧 「なに!、黄金の瀧と?」 「そうですよ。この附近は昔、金が採れていたので、誰言うことなく黄金の瀧と・・・」 志功は滝壺の縁に佇ち、周囲の青葉を震わせながら、音をたてて滔々と溢れ落ちる水勢に息を呑んだ。 「う−む。それはとうと秋ともなれば周囲の紅葉が映えて、この瀧は黄金色に輝くであろう。その美事な様が目に浮かぶ。」 瀧の勢いと響きに心を任せていた志功は、やがて画帖を取り出し、力強いタッチで筆を走らせた。鴉が一羽瀧壺をかすめ去った・ 昭和47年(1972)8月のことである。九州各県の景勝を歴訪された日本版画界の巨匠棟方志功先生は上津江村笹野を訪ねて「黄金の瀧」に痛く心を動かされ、後に版画に彫られ「続西海道棟方版画集」(8月の棚)に収められた。 左の絵はその版画を模写したもの。川上に向かって右手下方に見えるのが「黄金の瀧」である。(旧)上津江村教育委員会と説明板に書かれています。 ■場所 菊池市から小国町に至る国道387号線の熊本県と大分県の県境の兵戸峠を大分県側に下って数キロのとこです。熊本県側からはカーブの死角になりますが、大分県側からは上の写真の説明板が道路の左手に見えます。瀧は道路のすぐ脇です。路肩に駐車する車内から見ることができます。
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