■重要文化財 旧下関英国領事館 明治34年(1901)に下関市赤間町に開設された下関英国領事館は、明治39年に領事館を新たに建設し、現在の建物に移りました。煉瓦造2階建、桟瓦葺の本館およびその北側に建つ煉瓦造平屋建、桟瓦葺の付属屋の建物に、敷地境界に沿って煉瓦塀がめぐらされています。 これらは、本館西側妻壁の記念銘が記されたブラックや本館棟木に打たれていた付指定の幣串にある「上棟明治参拾九年八月九日」の墨書により、建築年代が明らかです。また、設計者は英国政府工務局上海事務所建築技師長のウィリアム・コーワン(William Cowan)であることが判明しています。 本館の外観は、赤煉瓦を基調に開口部廻り等の要所に石材を用いた形で、南面を除く三方に煙突をもった階段状の妻壁をつくる点や、南側に連続アーチと列柱をもつベランダを設ける点に特徴があります。また、内部は各執務室や居住空間として使われた部屋にそれぞれ暖炉が設けられ、天井にモールディングや中心飾りがあるなど意匠もよく整っています。 付属屋は、東西に伸びる横長の切妻造建物の南面東端に片流れ屋根の小建物が付いた形で、全体でL字型の平面をしています。外観の意匠は、本館にならいつつそれを簡略化した形をとり、切妻造部分の南側では、腰壁より上部の壁面を木造でつくり軒裏を網代天井とする等、本館とは異なる形にしています。 旧下関英国領事館は、領事館として使用する目的に建設された建物としては、わが国に現存する最も古いもので、歴史的価値が認められます。また、本館と付属屋がそろう建物配置や執務室と住居を分けた本館の平面構成は、領事館という建物の性格をよく示しており、明治期の外交関連施設の一典型を示すものとして貴重です。 と玄関前の説明板に書かれています。
|