早明浦　（さめうら）　ダム　高知県長岡郡本山町と土佐郡土佐町にまたがる吉野川本流上流部の独立行政法人水資源機構が管理する多目的ダムです

構造は重力式コンクリートダム、高さは１０６ｍ　有効貯水容量は２億８９００万立方メートル　利水容量は１億７３００万立方メートル　香川県内の全ため池（１４，０００か所）の総容量に相当する四国最大のダムです

四国地方は雨の少ない地域　そして海と山との距離が短いため　雨は　山に保水されることなく　直接　海に流れ出す地形です　早明浦ダムは　その雨を貯水する　四国のいのちのダムです　特に香川県の水道用水は　高知県という他県に作られた早明浦ダムにその大半を依存する特異な水事情となっています　早明浦ダムなどのリアルタイムな貯水量の確認は　水資源機構池田総合管理所　または　香川県庁ＨＰの香川の水　が便利です

渇水の早明浦ダムの写真は　上の写真　または　■早明浦ダム　でご覧ください

早明浦ダムに貯水された水は　吉野川を流れ下り　途中の池田ダムで分水され水は山を貫く導水管に導かれ　香川県財田町から香川用水として讃岐平野を潤します　写真は高松市の空港通の交差点脇の香川用水通の案内板です

香川用水は　讃岐平野に広がる総延長１０６キロの水路の総称　早明浦ダムから吉野川に放流された水は　途中の池田ダムによって堰き上げられ　８キロメートルの導水管によって香川県に導かれます　計画では　農業用水　１億５００万トン　上水道用水　１億２２１０万トン　工業用水　１９９０万トンの合せて２億４７００万トンの水が導水される計画になっています

香川県の命の水　香川用水　昭和４３年に建設が始められ昭和４９年に完成したものです　香川の水の歴史をため池とともに　お伝えできればと思います

香川用水　香川用水記念公園の説明は　上の写真　または
■香川用水　でご覧ください

香川県には約１万４千箇所のため池があります　ため池の数では全国第３位　県の面積あたりの数では全国１位　地図を見ると　点在するため池の多さに驚かされます

讃岐（香川県）のため池は　天候と地形にその理由にあります　讃岐の雨量は全国平均の３分の２　香川県と徳島県の県境の山地でも標高は約１０００メートル　そして　瀬戸内海までの流域距離は約３３キロメートル　このように水が少ない地域で稲作を行なうため　先人は　地域が一丸となって　ため池の造営に心魂をかたむけたといいます

写真のため池は高松市新町の新池　丘陵のため池で　流域の稲作にとって命の水です　また　ため池は　動植物の貴重な宝庫であり　繁殖の地でもあります

香川県内最大のため池　満濃池　毎年６月１３日ごろにゆる抜きが行なわれます　それまで閉じていた水門を開け　ため池の水を川に流す行事です　上流の田んぼから順番に田植えが行なわれる様子は　香川の梅雨の風物詩です

香川県のため池の説明は　上の写真　または　■讃岐のため池　でご覧ください

降雨の少ない四国地域の水事情の改善のため建設された早明浦ダム　「四国のいのち」　とされ１９７７年に完成したダムです　この早明浦ダムの建設によって上流部にあった大川村は村役場を含め村の大部分が水没しており　ピーク時に約４０００人いた人口は銅山の閉鎖　ダム完成による集落の水没などによって　約５００人まで落ち込んでいるといい　平成１７年（２００５年）１１月２７日に　日本の離島以外の市町村の中で最も人口が少ない村となっています

四国地方は　本来は多雨地域に属する吉野川上流域ですが　地球温暖化との関連性が指摘されている異常気象の影響で　ダム上流部では雨量が少なくなることが多く　写真に掲載する２００８年も降雨が少なく　ダムの貯水量が大幅に減少し　ダム湖に水没していた旧大川村役場が姿を現しました


水事情の改善のため建設された早明浦ダムですが　極端な少雨による渇水によって　早明浦ダム建設に対する反対運動の象徴として立てられたという旧大川村役場が見られるのは皮肉です

渇水によって見られた旧大川村役場庁舎の写真集は　上の写真　または　■旧大川村役場庁舎　でご覧ください