国指定天然記念物 エヒメアヤメは朝鮮半島、中国道北部を中心に自生するアヤメ科の多年草で、4月中旬頃、直径5センチ前後の藍紫色の花を咲かせます。葉は狭線状で先端が尖り、長さが30センチ以上になることもあります。花が終わった後にできる小指ほどの実が割れ、中の種が地面に落ちることで広がります。種子の散布力が低く自生の広がりのスピードが遅いことから、かつて日本列島がユーラシア大陸と陸続きであった植物学的な証拠として貴重な存在とされています。 日本は自生の南限にあたり、西浦のほかに山口県下関市、広島県三原市、愛媛県松山市、佐賀県佐賀市、宮崎県小林市の自生地が「エヒメアヤメ自生地南限地帯」として国の天然記念物に指定されています。 西浦のエヒメアヤメはかつて広い範囲に育成していましたが、現在は指定地以外ではほとんど見かけなくなりました。指定地でも一時は激減しましたが、多くの人々の尽力により株数を増やしつつあります。 5622平方メートルのこの西浦の自生地には、約150種の植物が育成しています。エヒメアヤメの保存にあたって「自生地南限」として、エヒメアヤメだけでなくその育成環境全体を守ることが重要となっています。 平成28年3月 山口県教育委員会 防府市教育委員会と書かれた説明板が設置されています。 |