私達の生活は 電波なしには考えられませんみなさんが毎日使っている携帯電話 車のカーナビ テレビ ラジオも電波を利用し 高速道路の料金所のETCも 自動車と料金所のコンピュタが電波で結ばれています電波の性質はどれも同じように感じますが 使用する目的によって周波数や電波の形式(音声やモールス信号 AMやFMなど)を変えています 短波放送局は地球の裏側のリスナーのために短波を使い FMやテレビは高品位の音声や鮮明な画像を提供するためなどからVHFやUHF帯を使いますさらに 電波は 季節 時刻によって届く範囲が変化します AM放送では 夜になると中国の放送が聞こえ 夏のテレビは伝播障害のために画像が乱れます これは 空にある電離層という電波を反射する層の変化によるものですアマチュア無線は このような電波の性質を利用して交信を楽しんでいます 電波の性質を学ぶことは 素敵な無線ライフのために必要なことでしょう いろいろな周波数を受信していると 変化がわかってきます つぎの資料を参考にされて 季節や時刻による電波の変化を感じていただければと思います
送信機の空中線(アンテナのことです)から放射された電波は どのような経路で受信機(ラジオなど)に届くのでしょうか 主な経路には つぎの2つがあります直接波テレビの地上放送は 東京タワーや山の上に設置された送信機から電波を発信していますみなさんの家のアンテナは送信所の方向を向いています ただ 東京で大阪の放送を見たいので アンテナを大阪に向けても受信できません これは テレビがVHFやUHFという周波数帯の電波を利用しているためですVHFやUHFの電波は 光りに似た性質があり 送信所のアンテナと受信するアンテナの間に 高い山などがあると届きません直接波とは 送信所のアンテナから発信された電波が 受信するアンテナに直接届く伝わり方です電離層波太陽から放射された紫外線や粒子がイオンとなって地上約50kmから500kmの所に密集して層を作っています この層を電離層といいます電離層は D E Fのようにアルファベットの名前を付けて D層 E層のように呼んでいます それぞれの層の密度は 時刻 季節 年によって変化する性質があります電離層は電波を反射する働きがありますが 電波の周波数によっては 電離層を通過して宇宙空間に広がるものもあります みなさんの身近な電波では AMラジオの電波は反射し BS放送などの衛星の電波は反射しないで届きますねアマチュア無線では この電離層の性質を利用して国内の遠方のアマチュア無線局や外国のアマチュア無線局と交信を楽しんでいます
アマチュア無線が利用する短波帯の電波は 電離層のうちE層とF層が関係していますE層地上約100kmにあり 太陽の高度が一番高い午後零時に密度が高くなる性質があります また 夏季 通常のE層より密度の高いE層が突発的に発生することがあり この層をスポラジックE層といいますこの層は 普通の時期は通過してしまう高い周波数の電波も反射する性質があり 夏季にテレビの画像が乱れる原因の一つですアマチュア無線では この層の反射を利用して VHF UHF帯で通常は届かな北海道と九州間などの遠距離通信に利用していますF層地上約250kmから400kmにあり,太陽の活動周期である11.5年ごとに変化します 太陽の活動が活発な時期は電離層の密度が大きく 活動が収まると小さくなります E層のような日中の太陽の高度による変化はありません また 電離層の密度は 冬は小さく 夏は高いという性質もあります短波帯の通信は主に このF層を利用しています周波数の選び方短波帯の電波はアンテナから発射されるとアンテナの特性に応じた角度で空に向かって広がっていきます電離層に届いた電波は 届いた角度に応じて 地上に戻っていきます たとえば 東京から九州に向かった電波は 大阪上空の電離層に届き 電離層で反射されて九州の無線局のアンテナに届きます このように反射されて届くまでの距離を跳躍距離といいます短波帯の電波は電離層で反射される場合は遠方まで届く性質がありますが 地上を進む地上波は大地に吸収されます すると 東京で発射された電波は電離層で反射されて九州では良好に受信できますが 中間の大阪などでは受信できません この受信できない地点を不感地帯といいます電離層の性質電離層は 電波を反射する限界の周波数があります これを臨界周波数といいますたとえば 8MHzが臨界周波数のときは 7MHzでは不感地帯が生じませんが 14MHzでは近距離を除き約1500Kmまでが不感地帯になり 21MHzでは約2000Kmまでが不感地帯になります短波帯の通信を良好に行うためには 近距離よりも遠距離 夜よりも昼間 冬よりも夏に高い周波数が選ばれますなお 電離層は電波を地上に反射する性質と電離層が電波を減衰(電波をエネルギーを減少させる)させる2つの性質があります伝播予測太陽の活動の様子 季節変化などの要因に基づいて 電波の到達予測が行われています 日本アマチュア無線連盟などの機関誌などに掲載されていますので 参考にすることができます
1.9MHzアマチュア無線局が電波を発信できるもっとも低い周波数です このためアマチュア無線家は この周波数(バンドともいいます)をトップ・バンドと呼んでいます性質はAM放送の周波数に近いことから 長距離通信は夜間に行われています AM放送で 夜になると中国やロシアの放送が聞こえるのと 同じ現象ですこの周波数はCW(モールス信号)だけが許可されています 電波の伝わる性質から 遠距離との通信は昼より夜 夏より冬に多くのアマチュア無線局の信号を受信することができます外国との通信は 高速のCW(話言葉ならば早口のよう)で行っていますが 国内通信は遅いCWで行っています CWの練習には いい周波数ではないでしょうか3.5MHz音声で交信できる最も低い周波数です アンテナはワイヤー系では40メートルの長さが必要なことから 昔は田舎バンドと言われた時期がありました 今はアンテナを短くすることができますから 都会のアマチュア無線局も多く交信しています昼間は電離層での反射を利用できませんから 遠距離との通信は夜が中心になります周波数の性質から安定した交信が楽しめるほか CWもゆっくりしていますので 旧友との雑談に最適ですね7MHz日本で一番人気があり また 一番混んでいる周波数です周波数の性質から日中に安定した交信が楽しめます 北海道から九州まで 初心者からOM(ベテランの人のこと)がひしめいています初めての頃はとまどうかもしれませんが テンポがいい周波数です 朝の通勤スタイルのように 他の人の流れに身をまかすようにすれば 実に快適な交信ができます10MHz第2級アマチュア無線技士以上の資格がある人が使えます また CWなどに限定されていますから音声による交信はできません周波数の性質から一日中安定した通信が楽しめ 海外のアマチュア無線局も多く交信しています上級資格を取得され ちょっとハイスピードのCW通信を楽しんでみませんか14MHz第2級アマチュア無線技士以上の資格が必要な周波数ですこの周波数は安定度が高く また 海外との交信に適している周波数です ヨーロッパやアフリカのアマチュア無線局の信号が良好に聞こえます私のだいすきな周波数で CWやSSB(音声通信)に利用しています 10Wの信号にワイヤーアンテナというシステムでアフリカまで簡単に信号が届いてしまうのも魅力です18・24MHz第3級アマチュア無線技士以上の資格が必要な周波数です周波数の性質から日中は安定した通信が楽しめます 特に夏場は電離層の変化から いつもは交信できない地域との交信が楽しめる周波数ですゆっくりと ほのぼのと した会話を楽しめる周波数ではないでしょうか21MHz7MHzについで人気のある周波数です 東京からは 北海道・九州などの遠距離との安定した通信が楽しめます また 海外との交信も容易な周波数で 初めて海外のアマチュア無線局と交信したのは 21MHzという方が多い周波数です春はアメリカ 夏はヨーロッパ 秋はアフリカとの通信が楽しめます28MHz短波帯の一番上にある周波数で FMが使える周波数ですいつもは静かな周波数で 交信している局の信号が聞こえないこともありますしかし アンテナは5メートルと短いことから都会でも簡単に楽しむことができ 夏場に発生する電離層の変化を利用すれば海外のアマチュア無線局との交信も容易です50MHzFM放送のすぐ下にある周波数で 短波帯の電波の性質とVHF帯の性質が同居していますアマチュア無線を始めたばかりの方も楽しめる周波数と思います 一度 始めると 奥が深く ハマル 周波数です 電波の意外性が実感でき また 人のやさしさ 暖かさが実感できる周波数ではないでしょうか144MHz波長の長さから通称2メーターと呼ばれている周波数です短いアンテナを用いることから自動車に無線機を積むことが容易です移動運用といって 山や丘で交信を楽しむ方が多く 休日は いろいろな山からたくさんの局が電波を出しています430MHz144MHzと並んで人気のある周波数です安定した通信が楽しめるほか レピーターという転送装置を利用することができ 小型の無線機でも 遠方のアマチュア無線局との交信が可能です私は 14MHzと この430MHzを中心に交信を楽しんでいます この430MHzは初心者にやさしい周波数といえると思います
海外に生活する日本人向けの放送はNHKの海外向けの放送がありますが 広報目的の放送に しおかぜ があります電波形式は AM (A3E) ですAM05:30からAM06:00までが 5.965KHZと6.045KHZPM11:00からPM11:30までが 5.910KHZと5.985KHZ です お聞きになりませんか
電波は いろいろな経路をたどって みなさんの受信機に届いて 音や画像になります外国から発信された電波は 電離層 大地 海で 何回も反射を繰り返して アンテナに届きます そして 発信した電波も 同じように全世界に広がっていきます携帯電話のように確実性はありません でも ロマンと偶然がアマチュア無線にはありますアマチュア無線 始めてみませんか 素敵な趣味です
●無線通信TOP