私たちの生活は 森羅万丈への限りない畏敬のなか 自然を神と呼び 五穀豊穣の恵みをもたらしてくださる神を賛たえ また 荒ぶる自然に神を畏れ鎮まれと祈るなど 神様とともに生きるという厳かな心があるように思います
日本の神は 神話や古事記の神様のほか 氏神様や自然の中の神様など 八百万の神様がいらっしゃいます 常に 私たちの生活を見守り いろいろな形で お願いをかなえてくださいます 出雲大社の神様は素敵な人との縁を結び 天神様は勉学を向上をさせてくださいます このように 私たちは 常に 心優しい神様とともに暮らしているといってもよいでしょう
環境保全を痛烈にアピールしたアニメ映画に 千と千尋の神隠しがあります
千と千尋の神隠しは 私たちに神様の存在と 自然を大切にする心を思い出してほしいという強いメッセージがあるように思います
湯屋の「油屋」には多くの神様が湯治に訪れます この神様のなかで 千が世話を命じられたヘドロまみれの神様は 瀬織津比売( せおりつひめ )
瀬織津比売( せおりつひめ )は 川に捨てられ また 流れるさまざまな物を処理する神様です 神様のお腹の中からは 自転車 冷蔵庫 椅子など様々な異物が出てきますが このシーンは 自然を愛さず 自然のありがたさを感じない 他人が困ることを考えない人たちに対する 痛烈な批判が込められています
多くの人は 自然環境を大切にするための努力を惜しみません 日々の生活では 汚水に注意し ごみを減らし エネルギー消費にも注意します しかし 道路や公園 そして川などは ごみであふれ 心ない大人は たばこのポイ捨てに なんのとまどいもありません だれかが清掃すればいい 土や水に隠れ見えなければいいという悲しい現状が繰り返されています
神話や古事記のなかでは 私たちが なにげなく流している汚水の処理を 様々なかたちで神様が行っていると 綴られています
瀬織津比売( せおりつひめ )は この世の邪悪や罪を川下まで流し 潮道の神様の 速開都比売( はやあきつひめ )に渡し 潮道の神様は それを沖の神様の 気吹戸主( いぶきどぬし )に渡します そして 水底の神様の速佐須良比売( はやさすらひめ )に渡し 速佐須良比売( はやさすらひめ )は 最終処理として邪悪や罪を水底に封印するという 一連の流れがあります
神社の祝詞にある「祓い給え清め給え」は これらの一連の流れで 罪や穢れを水底に流し 世の中を清めてくださいと頼む言葉です
環境保全は さまざまな神様の力をお借りする時代から 私たち自身が環境に注意し 環境を汚さないために 何ができるかを真剣に考えるときではないかと思います
そして 木村弓さんの透明な声のように 争いのない平和で安心できる 自然豊かな国にしていきたいですね