源平の戦火で相良寺が焼き討ちされた時、千手観音がこのトビカズラに飛び移り無事だったという伝説があり、トビカズラの名前もこの伝説に由来するといいます。

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2016' MAY 08 Message

熊本県山鹿市相良の霊華「優曇華」、仏教では3千年に一度花を開きその花の開くときは金輪王が出現するといい、また如来がこの世に現れるといわれている花です。近年では毎年のように4月下旬から5月上旬にかけて暗紫色の房状の花を咲かせています。 * ♪


+ + 相良のアイラトビカズラ 国指定特別天然記念物  + +

■相良のアイラトビカズラ 国指定特別天然記念物
学名 MUCUNA SEMPERVIRENS (ムクナ センペルビーレンス)
中国名 常春油麻富士 : チュンチャンユマイトウ (じょうしゅんまとう) 飛蔓(とびかずら)
伝説
昔、源平合戦の頃のはなしである。壇ノ浦の合戦で敗れた平家の残党が相良寺に立て籠もった。当時、この地は本堂ほか九十九の坊舎が建ち並んでいたというが、これを豊後竹田の源氏方武将緒方三郎なるものが焼き討ちした。この時、観音様は飛翔してこのカズラに飛び移り危うく難をのがれたという。
また、一説には、観音様がカズラに姿を変えて飛来され、走落の坂を下る緒方三郎の乗馬の足にからみつかれ、落馬したところを残党が討ち取ったとも伝える。
「トビカズラ」の名の由来について、この二つのはなしが伝わっている。
霊華「優曇華」(うどんげ)
トビカズラの花の古来優曇華と呼ばれ「霊華時を隔てて開花することあり。開花すれば必ず国家的事変がある。」と言い伝えられてきた。昭和4年5月、満州事変勃発の前年に35年ぶりに開花をみたという。優曇華は、仏教では3千年に一度花を開きその花の開くときは金輪王が出現するといい、また如来がこの世に現れるといわれている。
近年では毎年のように4月下旬から5月上旬にかけて暗紫色の房状の花をつけている。
付記 本町中原出身の作家酒井龍輔(さかいりゅうすけ 明治32年生 昭和60年没)は、小説「油麻藤の花」によって昭和9年7月「改造」第7回懸賞小説に入選し、文壇にデビューした。
「おい、おれが町で聞いた噂によるとなー、中年の男が言った。阿比良ウドンゲは、古来トビカズラと称ばれている一曼樹の花だそうだ。観音様の神罰があたるといわれ、昔から禁制になっていたそうだ。伝々」(小説「油麻藤の花」より) 山鹿市教育委員会 と書かれています。

また、もう一つの説明板は、次のように書かれています。

国指定特別天然記念物
相良のアイラトビカズラ
昭和27年3月29日指定
熊本県教育委員会
平成3年3月建

マメ科のつる性の常緑木本。
つるは大きく、葉は濃緑色で光沢がある。5月に太い茎を出し、10〜20個の暗紫色の大きな蝶形の花をつける。普通は結実しないが、昭和37年に人工授精により結実させた結果、中国中部に分布する常春油麻藤と同じ種類であることが確認された。
日本ではただ一本自生する貴重な植物で、樹齢は約1000年と推定されている。
昔、源平の戦火で相良寺が焼き討ちされた時、千手観音がこのトビカズラに飛び移り無事だったという伝説があり、トビカズラの名前もこの伝説に由来するという。

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