■木造八百比丘尼 (おびくに) 座像
むかしむかし朝日輝命 (朝日長者) と夫人の夕日照命が都よりくだり、この地 (愛郷) に暮らすことになりました。
庚申さまの恵みにより女の子をさずかり八重姫と名付けました。
１５・６ともなると八重姫の美しさは都まで聞こえるようになりました。
天子さまが姫を都に召し出そうとしましたが、姫はこれをきらい真名子の里を離れることになりました。
その途中、老翁 (青面金剛の化身) に出会い、目もくらむような立派な家に案内され幸せに暮らしておりましたが、４・５年もすると両親のことがしきりと恋しくなり再び真名子の里に戻ってまいりました。するとあたりは一変しており、知っている人も自分の家もなくなっていました。
姫は自分の姿を池 (姿見まの池・真名子八水の１つ) に映してみたところ、若い娘のままでしたのでそれほど長い年月がたったとは思いませんでしたが実は八百年が過ぎていたのでした。
やがて姫は尼となり妙栄と名を改め、回国の旅にでかけました。
諸国の神社やお寺を巡礼し、最後に若狭の国 (福井県) に庵をむすびました。
そこで自分の姿の像を二体きざみ、一体を真名子に送り、一体は若狭の小浜に残しました。
八百歳の長生きをした姫をしのんで、若狭の国では八百姫大明神として、また真名子では八百比丘尼様としてまつられ今の世につたえられたものです。
西方町有形指定文化財　昭和５６年３月５日指定　西方町教育委員会　西方町文化財保護審査会　と書かれた説明板があります。