■シタキソウ 本州 (千葉県以西の太平洋側) 、四国、九州に分布し、暖地の海岸に近い林の中に生える常緑のつる性多年草。花は6月頃に咲き、白色で芳香があります。 牧野富太郎は、「日本植物図鑑」において、「本種の和名について江戸時代の本草学者井岡烈氏がつけた舌切草を略したのだと思われるが、意味はわからない」と述べてます。 一方で、園内では左の画像のようにチュウの仲間が花に口吻 (ストロー) を入れた後、抜けなくなってもがく様子が目撃されています。ひょっとしたらこれが和名の由来では、と筆者は思っています。 牧野は、当園の設立に尽力した武井近三郎氏へ宛てた手紙の中で、以前五台山で大いに花の咲いたシタキソウに出会ったことがあり、もしわかるならこのシタキソウを採取し (東京) に送ってほしいとお願いしていました。手紙の端には「たまに外にも在りますけれど、五台山のものは名物と云ってよいのです。」と書き添えており、ここ五台山のシタキソウは牧野にとって印象深い植物であったことがうかがえます。と書かれた説明板があります。
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