■十夜ケ橋橋を渡るとき杖をつしてはいけない。という遍路の作法があります。橋の下で弘法大師が休んでいるかもしれないので、杖の音をたいないようにするためといいます。遍路の人々は、遍路の始めのころは、この教えを忘れて、橋の上で杖をついてしまうことがよくあるといいます。昔の橋は土橋が多く、杖をつくと橋が傷むので弘法大師と結び付けて戒めたとする説もあります。44番札所の大宝寺 (だいほうじ・久万高原町)へ向かう途中の大洲市に、作法のもとなった十夜ケ橋 (とよがはし) があります。弘法大師が訪れたとき、宿がなく橋の下で野宿をせまられ、寒さの下で一夜が十夜に感じられたことから橋の名がついたといわれています。現在の橋は国道56号線に架かるコンクリート製、その上部には松山自動車道の立体交差が通っています。十夜ケ橋の下には、寝ている弘法大師の石像が置かれ、布団が掛けてあります。四季により、冬季は布団、夏季はタオルケットに衣替えされるといいます。