■宇摩志阿欺訶備比古遅神 (うましあしかびひこぢのかみ) 道後平野の中央に位置する愛媛県東温市牛渕に鎮座する 浮嶋(うきしま)神社 「ウマシアシカビヒコヂの 『芽が出る』 という神徳から 江戸時代中期から開運の神として信仰されてきた」 神社です
古事記は 「造化三神」(ぞうかのさんしん) に続いて登場する4柱目を 「次に国雅(わか)く 浮ける脂(あぶら)の如くして くらげなすただよへる時に 葦牙(あしかび)のご如く萌(も)え騰(あ)がる物に因(よ)りて成りませる神の名は 宇摩志阿欺訶備比古遅神」 (意味は 次に国雅(わか)く 浮ける脂(あぶら)の如くして くらげなすただよへる時に 葦牙(あしかび)のご如く萌(も)え騰(あ)がる物に因(よ)りて成りませる 神の名は 宇摩志阿欺訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ) 記しています。
浮嶋神社の史料は少なく 平安時代の史書『日本三代実録』の貞観(じょうがん)9年(867)年の条に「伊予国浮島神に神位従五位(じゅごい)の下(げ)を授く」とあるのみだといいます
「うましあしかびひこぢのかみ」 を祭った理由は 地形風土から推測できるといい 浮嶋神社の南を重信(しげのぶ)川が流れ 道後平野に扇状地のをつくりましたが たびたび氾濫した川です 現在の川の名前の由来は 17世紀初めに大改修工事を行った 江戸期の松山藩家老 足立重信 に由来します。
洪水は田畑を押し流すが 上流から栄養分豊富な土壌を運んで堆積させ 再び葦が自生する 「葦が芽生えれば、人も生きていけた」 ウマシアシカビヒコヂが祭られた地には古代から 生命力と生産力があふれていたと思います
宇摩志阿欺訶備比古遅神 この神は
別天(ことあま)つの神と総称とれる5柱に含まれる神 「宇摩志」は美祢 葦芽如く成った神という古事記の記述は 日本書紀の最初の神 国常立尊 (くにのとこたちのみこと) : 古事記では6番目に国之常立神)の描写と共通 日本書紀の本文には登場しませんが 「一書に曰く」 で添えられた異聞に 「可美葦牙彦舅尊」 の表記で書かれてます 浮嶋神社は この表記で祭っています
国生みと同様に 海に近い低い湿地の漁民や農民の世界観を色濃く反映した神と考えられ 出雲大社では 客座五神の一柱として祭られています
参考文献 産経新聞 2014.02.11 第1面 「現代に生きる神話 祭られる神々」 第1部 天地の始まり 下
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