■流域の概要 阿武川は、水源を島根県境の権現山 (標高653m) に発し、名勝長門峡を経て萩市に至り、阿武川、橋本川に分流して日本海に注ぐ流路延長82.2キロ、流域面積635平方キロメートルの河川です。 火成岩で構成される急峻な産地に源を発した本川は、徳佐盆地を貫流しさらに景勝・長門峡を経て日本海に出て、ここに萩デルタを発達させる。山地部の林相は戦中、戦後の乱伐によって荒廃したため、降雨毎に多量の土石を生産し、水源の渓谷や本川の渓谷部から流送土砂を伴った急激な水流が平野部を襲来し、連年これによって多大な被害を被ってきた。 ■多目的ダムの目的 阿武川河口に発達したデルタは、北浦地域の中核としての役割を持ち、明治維新の発祥の地でもある萩市の市街地を形成しているが、デルタ特有の低湿地で、年々の洪水によって浸水し、慢性的な水害地となっていた。このような状況のたる、度重なる集中豪雨等によって出水で、計画洪水量2000単位を上回るため、ダムを建設して洪水を調整し不特定用水を確保しもさらに発電の目的を加えて、北浦地域の総合開発を促進を図るため多目的ダムとして建設された。 ■事業の経緯 阿武川総合開発事業は、昭和39・40年度の予備調査によって、地形、地質的にダム建設予定地として恵まれた条件であることが明らかとなり、地元の協力を得て昭和41年度より、実地調査を行った。 その後、さらに調査を進めた結果、本ダムサイトは、地形、地質的にダム形式を重量アーチ式コンクリートダムといるのが合理的であるという結論に達し、昭和44年度の補償交渉7の妥結に引き続き、翌、昭和45年度末により建設工事に着手し、昭和50年3月に完成
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