■平成名水百選 よみがえりの水 駐車場から水汲み場 八王子権現の由来は、昔後柏原天皇(1500−26)1500−26)の時代周防二王三郎という鍛治が、戦乱の世を憂いて安芸国品治治石井谷に移住して、伯父の二王清祐から伝えられた業を営んだ。 三郎は以前から近江国日枝八王子の宮を信仰していたので、こに分霊を勧請して朝夕参拝するうち、てつの間にか山の様子、森の木立までも何だか尊いように思われてきて、有り難いという気持ちが強く起こってきた。 それが神様の御心にかなったのであろうか、垣のほとりから泉が湧き出してきた。三郎は不思議に思ったが、後にこの泉で剣を焼刃を作り、世に名高い名工となったという。そのうえ、この泉に浴して色々な病気が治ったことも多かった。 それなのに、いつごろだろうか、湧き出ることがなくなり、長い年月を経た。ところが寛政8年(1796)3月2日の夜、当村の老農兵衛という人にお告げがあって、翌三日の早朝から百の清泉が湧き出た。それ以来参詣の人が蟻のように続き、ひとたび泉に浴した者はいかなるや病でも治らないということがなかった。
誠に有り難い時に逢い、得難い清泉を戴いて、人々は体を安楽にし長寿を全うすることができるのは、たぐい無い神様のおかげである。 なお当神社近くの田(浅野氏)御家老の所領で、先年御内儀が病気の時、この泉で治され、新しい鳥居の奉納があったという。 この泉の由来が五百年も八百年も、いつまでも伝えられてほしいと願って、以上のことを記す。
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